石栗正子裁判長への感謝(水戸喜世子共同代表)

2022年9月15日木曜日

お知らせ 新着

t f B! P L

仙台高裁が「子ども人権裁判」と「親子裁判」を分離したことを受けて、水戸喜世子共同代表が石栗正子裁判長に感謝のお手紙を届けました。ご本人のお許しを得て、ご紹介します。ぜひご覧ください。

石栗正子裁判長への感謝(水戸喜世子共同代表)

私は『令和3年(行コ)第9号 安全な場所で教育を受ける権利の確認裁判』、通称「子ども脱被ばく裁判」に関心を持ち、裁判を支援する市民が緩やかにつながる市民組織の共同代表で水戸喜世子(87歳)と申します。この裁判が始まって以来、被ばくの感受性が大人に比べて格段に高い子どもを、被ばく環境から守るのは大人の責任であるとの考えから、この裁判の意義を市民の中に伝え、社会全体として子どもが守られることを願って活動してまいりました。石栗裁判長におかれましては、重い職責の日々に心より敬意を表します。

折しも、原告適格の問題が発生して、裁判本来の役割を果たすことなく、裁判が終結を迎えることだけは、何としても避けねばならないと、市民の中で話題沸騰いたしました。市民だけの緊急集会が2回開かれ、この裁判の大切さが確認され、話し合った末の結論が、素直な市民の思いを裁判長にお届けしたいという結論でした。市民一人一人の真摯な思いをハガキに込め礼節を保ってお願すれば、きっと市民の声に耳を傾けていただけるに違いないと思い至りました。

一人一枚を厳守し、ご迷惑をかけないようにと約束しあったことではありますが、広く一般市民にも呼び掛けたために、おそらくいっときにどさっと郵便物が届いた時もあった事と拝察いたします。ご迷惑をおかけした点があれば、心よりおわび申し上げます。ただ司法に目を向ける市民が一人でも多くなることは、司法、ひいては社会が健全であるための必須条件であることに免じて、なにとぞご寛容にお願い申し上げます。一部の市民からは、「こんな内容のお手紙を書きました」というコピーをいただいていますが、十人十様の視点から、子どもの人権を大人として守りたいという切実な思いが込められておりました。

私たちには、そんなハガキを読んでいただけたかどうか、ましてや、分離の決定に影響を及ぼすことが出来たかどうかなど、知る由もありませんが、石栗裁判長がお示しくださった「分離」のご決断に対して、人権に関心を寄せる市民たちがどんなに歓迎し、歓喜の涙を流したか、どうかご想像ください。安易な形式に逃げ込まない、責任感のある司法の風格を見る思いがいたしました。

福島原発事故という広島・長崎の原爆事故に次ぐ歴史的事件の中での、子どもの権利確認・行政の義務違反を問うという歴史的裁判に、私たちは立ち会っているという、認識を持っております。その重大な歴史的裁判において、時間の流れを止められないという自然現象を理由に、裁判の審理が尽くされないなどという事態だけは、あってはならないと考えておりました。石栗裁判長の子どもの人権を尊ぶご判断に心からの敬意を捧げる所以です。

次に必ず起きることを想定すべき原発事故において、またもや子どもが放射能の危険に晒されることのないよう、この裁判が、未来の子どもを被ばくから防護するという司法に許された歴史的使命を担っていただきますよう、心から願って感謝のご挨拶といたします。

末筆ながら、心より石栗裁判長のご健康をお祈りします。

      2022,9,13 水戸喜世子  





QooQ